17/02/01

校長古田茂樹の「車窓余禄」【第10回】「いつかタイヤは滑る」

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3年前の正月に、山口県内の高速道路上で高級スポーツカーが20台以上無残に大破する大事故が発生した。きっかけは60歳の男性が運転するフェラーリがスピンして後続車を巻き込んだことが発端による事故であった。スピードだけが原因ではない。

原因は路面にもある。冬がやってきて、ここ南国でも雪が降る。路面が凍結する。雪が降ると、スピンして衝突している車両をよくみかける。黒々としたタイヤは大きいが、路面と接している面積はハガキ1枚分にすぎない。1~2トンの重量を葉書4枚で支えるタイヤこそ、いわゆる陰の力と呼ぶにふさわしい。タイヤにこそ、ドライバーは最大の敬意と感謝を示したいものだ。

タイヤの摩擦力には「走る、曲がる、停まる」のすべてがかかっている。一輪でも踏ん張れないと車は滑る。だから、真剣に運転する人はタイヤ4輪の接地状況を大いに気にするのである。しかしながら、最近の車は人間に代わってコンピュータがタイヤ接地状態を見張っている。やばい動きを察知するとエンジンパワーを絞ったり、どれか1輪に微妙にブレーキを掛けたりして安定化してくれる。本当はすごく危なかった局面でもドライバーは何事もなかったかのように通り過ぎていく。本来、コンピュータに感謝すべきなのに。

車の安全のためタイヤとコンピュータの連携は、大いに研究開発が進んでいる。進化しすぎて、両者の連携がフェイル(破たん)するまではそれらの有難味がわからない。つまり、コンピュータの助けは、タイヤの摩擦力の限界までで終わる。車が滑り始めると、コンピュータの制御は終わり、宇宙を支配する「慣性の法則」に身を任すことになる。

タイヤ、コンピュータの発達による車の安心・安全・快適はありがたい。しかし、タイヤも道路をつかみきれない時が来る。しかも突然滑る。「いつかタイヤ滑る」と意識して運転したい。自分だけでなく他人の生命がかかっている。

2013年2月号 2013年1月18日 発行

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