17/08/01

校長古田茂樹の「車窓余禄」【第16回】「美しく危険な車」

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最近のクルマは太ってきた。細身のクルマがない。

おおきなワンボックス(SUVともいう)だけでなく、昔からあるセダンやクーペが近年はとみに太ってきた。20年以上前のクルマに路上や車販売店のサービス工場で出会うとびっくりする。うわぁー、小さいなぁ、とおどろく。車長や車幅が短いだけでなく、ボディ全体がすらりと細身なのである。とりわけヨーロッパ製のスポーツカーなどをみるとその流麗な細身にため息が出る。

クルマはなぜ、太身になったのであろうか。理由はいろいろある。居住性向上など、明らかに客からの求めである。それから衝突安全を満たす法規制である。事故車をみることがある。エンジンルームは見事に潰れているのに、乗員の乗る部分(キャビン)はほとんど変形していない。ドアも普通に開け閉めできる。乗員2名は軽い打撲程度で済んだ、との説明を聞いて思わず唸る。エンジンルームが潰れることで、衝撃を吸収したのだ。

クルマ好きの中には旧い車、いわゆるクラシックカーを好むものが多い。個性と才能の塊のようなデザイナーとエンジニアによってつくられている。創造主の魂が乗り移っているので、キャラが濃い。だから、好きなものにはたまらないのだ。現代の太い車が法律と技術の塊であるのに対し、クラシックカーは才能と情念の塊である。

しかし、旧い車は危ない。どこが危ないのか? 衝突に弱い。乗員のいるキャビンまで潰れる。また、発火して火災となったニュースもよくみる。テレビでニュースをみると車種を確認しみると、たいてい旧車である。また、走行時制御が弱い。順調に走っているときはハッピーだが、濡れた路面や雪道でのスリップには弱い。

だから、旧いクルマをもつにはそれなりの知識とメンテと覚悟がいるのだ。芸能界で売れ始めたタレント(男女を問わず)が魅せられた旧車を愛車にしている雑誌記事を目にすると、微笑ましい反面、心の中で安全を祈ってしまう。

2013年8月号 2013年7月20日 発行

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