17/11/01

校長古田茂樹の「車窓余禄」【第19回】「夜間の警官」

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夜間知人宅へ向かって自転車を走らせていると、物陰からぬぅーと人影が出てきて停止させられた。びっくりした。

警官であった。「こんばんはー。登録ナンバーを見せていただきたいのですが」と問いかけてきた。その目的は言わなかった。どうぞと応じると、懐中電灯で登録ナンバー票を照らし、番号を書きとめた。そして、「お名前は?」と問うて来た。名前はいいませんと応えて、先を急いだ。背後から、「番号を書いたので、名前は分かりますよー」との声が追いかけてきた。

夜間の路上で警官相手に国民のプライバシー議論はしたくなかったので、さっと立ち去った。いつ、どこで、だれが、なにをしているかは大事なプライバシーである。おそらく盗難自転車の無作為捜査をしていたのであろう。これも大事な警察の職務なので、登録ナンバー確認作業までは協力した。しかし、それ以上は断った。「なにもやましいことはないのなら、警官に名前くらい教えてもいいじゃないか」、とのおおらかな考えもあるが。

個人の権利が徹底している欧米では、警官も路上質問にはだいぶ慎重である。私は若いころ、英国の自動車運転免許を取得した。ところ変われば、品変わる。あまりにもやり方が日本とは異なっていて面食らった。まず免許証に顔写真がない。交付担当警官に尋ねると、プライバシー保護だという。他人の免許証で運転される怖れはないのかと問うと、「可能性としてはあるね」と答える。「怪しいと思えば、徹底して調べるね。警察の仕事だからね。君が警察の心配まですることはなかろう」と面倒くさそうに説明された。おー、さすがヨーロッパだと感心した。

個人の権利の先進国では、警官の職務と個人の権利はきっちり分けている。「まーそんな堅いこと言わんでも」、という曖昧さは彼の地ではないらしい。

2013年11月号 2013年10月19日 発行

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