17/12/01

校長古田茂樹の「車窓余禄」【第20回】「普遍的価値≠個性的魅力」

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クルマでどこを走っていても、建築中の住宅をみかける。職人が忙しく立ち働く傍らで小さな子供をつれた若夫婦が嬉しそうに眺めている。みるからに夢と希望があるほほえましい風景である。家を作ることは家族に、夢、希望、安心を作り、そして彼らの団結を強める。加えてお父さん(お母さんも含める場合も多い)の頼もしさを示す機会でもある。

ところで、最近は住宅と車が似た道を歩んでいる。先日機会があり、33歳の若き2代目社長が経営する住宅メーカーを訪ね、モデルハウスのなかで話を伺った。基本的に今風洋式づくりの内装であった。内部の雰囲気に重々しさは皆無である。あくまで、清潔で明るくオープンな雰囲気を作り出していた。家が部屋の集合体というよりは、家全体が一つの部屋のように感じられた。

伝統的日本家屋のもつ陰影の美などとは無縁である。隅々まで明るいからである。ふと、若き社長に質問してみた。「家族が一緒にいたいときには理想的な間取りですが、家族と一緒に居たくない時、お父さんの顔を見たくない時には不便ですね」と尋ねた。彼は、しばらく考えて、「うーん、そのあたりの兼ね合いは難しいですね」と明るく答えた。

家とはなにか? 家族とはなにか? 「家と家族」が家庭をつくるとすれば、どんな家庭がいい家庭なのだろうか? 何事も根本はむずかしい。 しかし、「家・家族・家庭つくり」を考えて、我が家の個性を出さなければ独自な魅力は作れない。メーカーが予算・間取り・機能性だけを聞き取り、市場から適正な資材を調達して、効率よく組み立作業を進めるだけでは不十分である。

昨今の家作りは棟梁の仕事ではなく、工業製品化している。だから長所もある―材質・機能・コストなどはよくなった。しかし、どのメーカーで建てても似た家となる。普遍的価値はよくなったが、個性が弱くなった。工業製品の王者、自動車に似てきた。

2013年12月号 2013年11月21日 発行

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