今月は、クルマのことだがあまり心地よくない話を書きたい。
つい最近のことである。名古屋の親戚にクルマで出かけた知人一家がオービス(速度違反取締り機)にやられた。高速を降りたばかりの道路は新品で気持ち良く空いている。気分よくアクセルをぐっと踏み込んだ瞬間、全面から真っ赤な光を照射された。車両、運転手、ナンバープレートの撮影である。「しまった、やられた。オービスだ」と叫んだが、時すでに遅し。奥様や二人の御嬢さんは、オービスの経験はおろか知識さえもない。「おとうさん、あの赤い光、なになに??」と心配そうに尋ねる。
その知人のKさんは善良な市民であるのは言うまでもなく、日頃の運転も安全、丁寧な人である。何回かクルマに乗せてもらったが至って穏健なストレスフリーな運転振りであった。この人なら、一生ゴールド免許(違反のない優良ドライバーに交付されるもの)だなと確信した。でもこのタイプの人物が割とよくオービスでやられている。地元ではなく、道やオービス設置に不案内な県外でやられている。いわゆる飛ばす人は設置場所をよく調べてから県外へ出向くから逃れている。
3週間ほどして、愛知県警察本部から速度超過を指摘する通知書が送られてきた。「お尋ねしたいことがあるので、出頭して下さい」とある。「また、名古屋まで行くのか?」と思ったが、地元でも対応してもらえると書かれていた。愛知県警の担当部署へ電話すると至って優しく対応され、徳島県警へ書類を送るので、連絡があるはずなので待てとの指示があった。此の電話で制限速度50km/hのところ、90km/h以上出ていたことが判明した。その後、徳島県警、免停を短縮する講習参加、検察庁出頭し略式裁判に同意、その後裁判所から罰金の納付書が届いた。10万円に近い罰金であった。
「こんな善良なKさんが?」とても驚き腑に落ちない話だと思った。事の顛末を語り終えたKさんは、「まっ、違反は違反ですからね」と法治国家に住む市民らしく善良な感想を述べた。
2014年7月号 2014年6月20日 発行