18/09/01

校長古田茂樹の「車窓余禄」【第29回】「郷土のヒーロー、貴島孝雄」

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クルマ好きにとって郷土のヒーローといえば、マツダで2座オープンのロードスターの開発の指揮をとった貴島孝雄さんである。バブル(とは直接関係ないが)時代の始まりとなる1989年に、マツダは満を持して1600ccの小型スポーツカーを発売した。世界中のスポーツカー好きを熱狂させた。開発理念は「人馬一体」の走りである。

940kgの軽さを活かしたひらりひらりと舞う運転はたまらない。経済的にも若者に優しく170万円からの値付けであった。初代の開発主査は平井敏彦さんであったが、彼が定年退社して大分大学工学部へいった後は、徳島出身の貴島孝雄さんが主査を務めた。その後長年、次期モデル、そして現行モデルまで三代ずっと貴島さんが担当してきた。「キジマ イズ ミスター・ロードスター」と世界でいわれる。

もうすぐ、世界が待ちに待った原点回帰を謳う最新型ロードスターモデルが出る。第一世代よりも軽量らしい。しかし、担当は徳島の貴島さんではない。今は、山口東京理科大学の工学部の教授をしている。「うん、モノづくりはヒトづくりだね」とか言いながら学生たちに小型レースカーづくりを指導して選手権に出したりしている。

「ミスター・キジマはこの土地の生まれですね(英語で)」と興奮気味にイギリス人がロードスターをマニュアルシフトで操り佐那河内から神山へのワインディングを駆け抜けていく。ロードスターをその生まれ故郷で走らせるのが彼の長年の夢であった。「クルマもメイドイン トクシマですね(やはり英語で)」と問うので、「いや、メイドイン ヒロシマだ」と訂正すると、「オールモースト ザ セイム (同じようなものですね)」と勝手に決めつけている。夢の中なので事実や合理性はぶっ飛んでいる。

私も貴島さんには、まだ会ったことがない。徳島県立東工業高校が閉校となる際に卒業生を代表して記念講演を行った事実を知ったのはその3日後であった。「もっと早く知っていたら」と地団太を踏んだが、後の祭りであった。ヒーローは郷土に自信をくれる。

2014年9月号 2014年8月20日 発行

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