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25/04/10

校長古田茂樹の「車窓余禄」【第35回】「TEC予備校が開発中の学習法…」

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車窓余禄タイトル

 私たち塾・予備校業界では跳び抜けた指導力を持つ先生を「〇〇大先生」と呼んでいる。そんな大先生たちは立派な人物であると同時に、人間的魅力に溢れている。自塾の生徒を魅了するだけでなく、他塾の先生たちにもファンが多い。
 突然、舞台裏の話に転じるが、35年前にTEC予備校の黎明期に筆者が「教えられなくても習える」をモットーにして開発した学習法があった。もちろん効果は抜群であった。その後規模の拡大や時代の変化で退却させたが、最近、ITやAI技術と合わせて復刻させる案が出てきた。
 どんな学習法か手短に説明したい。科目は英語である。文法の問題集なら徹底して一冊やりきる。長文なら、抜粋した入試問題ではなく小冊子である物語を丸ごと一冊やりきる。学習は自宅や塾で生徒が自力でやる。ただし、質問は受け付ける。文法も物語も、一定の区切り毎に確認問題をクリアさせる。当時であるから、コピー機はあったがパソコンはまだ余り普及していなかったから、コピーした上に手書きで設問を書き込んでいた。良いように言えばアナログ的で温もりがある代物であった。進捗は生徒のやる気と学力で大いに変わる。大教室には学年に関係なく大勢の生徒が教材や確認テストに取り組んでいる。やっているものも人それぞれであり、同じものを取り組んでいてもやっている個所は人それぞれ違う。
 やり方や教材には特段人を感動させるものはない。派手さはなく、至って地味だ。感動と驚きは英語のテスト(あらゆる種類のテスト)で従来とは違う高得点が続出することだ。とにかく実力がつく学習法であった。教材と確認テストを半信半疑でやっていた生徒も周りの仲間がテストで好成績を上げているのを聞くと、自分もやらねばと目の色が変わる。予備校部でも地元の国立を落ちた生徒が翌年上智大学に受かったとか、医学部に受かったとかの実例が出てくると、後に続く生徒の目の色が変わる。小さな地方都市のことなので評判は瞬く間に広がった。このおかげで現在のTEC予備校の土台ができた。
 ところで、正直に言う。この画期的な学習法は筆者の頭から出たのではない。業界の大先生がすべて教えてくれたのだ。名前をM先生という。先生にはとても感謝している。
 話を兵庫県の灘中学・高等学校に転じる。近年では200名の卒業生のうち132名が東京大学に受かっている学校である。かつて、この学校に橋本武という名物国語教師がいた。中学3年間の国語授業では一冊の小説を骨の髄まで貪るように読みつくし、調べつくし、理解しつくす指導だという。筆者が使った指導法と似ていることに気付いた。
 戦後、灘校が開校したころは公立高校の滑り止め私立校に過ぎなった。ローマは一日にならず。 (終)

2024年9月26日 発行

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