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25/11/11

校長古田茂樹の「車窓余禄」【第62回】「ついに女性総理大臣誕生…」

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 丁度4年前の2021年9月30日、かわぐち・かいじ作のコミック「空母いぶきGREAT GAME5」が単行本で出版された。設定の時は近未来、主たる場所は北極海である。氷が温暖化で溶けて、北極海は船の航路として、資源発掘の先として、また軍事的衝突の前線として注目を浴びてきた。これが、この物語の主要設定である。
 アルゼンチンの環境調査船が、ロシアの軍事目的の海中調査物体を偶然にも引き揚げてしまった。魚雷やミサイルなどで調査船ごとの破壊を試みるロシア軍と偶然現場に居合わせた日本の海上自衛隊が調査船を守ることになる。ここに引き上げた代物に大きな関心を寄せる米海軍が出てきて、三国が海上現場と政治外交でもみ合う展開である。 この単行本第五巻で、政治外交の主軸として登場するのが日本初の女性総理大臣柳沢が、確たる信念をもって怯むことなくロシアや米国と対峙する。この時、ハラハラ、ドキドキしながら読んでいた私は、作者は来る近未来の北極海や日本での女性首相の誕生を予言しているとの直感を得た。以来、女性首相誕生を現実のこととして待っていた。
 さて、一昨日、2025年10月21日ついに、女性の高市早苗が第104代日本国首相として国会で選出された。彼女の第一声は「決断と実行の政治をやります」との力強い宣言であった。さて、去年11月の衆議院選挙でも、今年の7月の参議院議員の半数改選でも議席数を減らせた自民党は連立の公明党を足しても衆参どちらも必要な過半数に届かない状況であった。言うまでもなく、与党側の苦境は、裏を返せば野党側のチャンスである。つまり、スポーツと同じである。圧倒的な実力差のある試合は面白くない。ワクワク、ドキドキがない。やっている方にも、観戦している方にも緊張感が薄い。とにかく、勝敗がどう転ぶか分からない接戦が面白いのだ。
 ところで、投票の国会の前に連立の入れ替えがあった。26年間続いた自公連立が10月10日、公明側からの意向で突然解消が発表された。一時は、両党はラブラブの関係であったが、特に近年は、公明党の集票力が落ちるにつれて互いの関係もガタガタしがちであった。実はその前日、駐日の呉江浩中国大使が国会へ公明党代表の斎藤鉄雄を訪ねてきて会談があった。大使から「自民党と手を切れ」との指示があったとの噂もある。本当であっても不思議ではない。なぜなら折しも、今回自民の総理を狙う高市早苗は、対中国外交には是々非々で厳しく臨むと明言している人物である。
 ピンチなのは、自民党にとっては少し足りなかった総理選の票が益々足りなくなった。公明側は離脱早々、野党側への参加を希望表明した。自民党オンリーでは総理選は絶対に勝てない。そうなると、野党側がやる気を帯びてきた。国民民主の玉木代表が総理だとか、少なくとも財務大臣だとかの下馬評も飛び交った。乗りの良い玉木さんはすでに表情が嬉しそうに緩んでいる。私は、テレビ画面を見ながら「玉木さん、まだ早い」と呟いた。この人悪い人ではないが、油断が得意な人である。
 突然、15日に自民高市早苗総裁と維新代表の吉村洋文が国会内で会談した。大阪府知事の吉村は急遽上京しての会談である。そして、理念や政策が似ているとの理由でドンドン接近していった。そして、5日後の20日には「連立政権合意文書」を交わし総理選出選での協力が確約された。全文読んだが良い内容だ。抜群のスピード感である。
 そして、ついに21日、総理を選ぶ国会である。現在衆院議員定数465人。参院定数は248人であるが、当日は246人が参加した。衆院では1回目の投票で高市が237票を取り過半数条件を満たし当選した。続いて、参院では1回目高市123票(ジャスト半数)となり、決選投票に持ち込まれた。決戦結果は125票(半数プラス2票)で決着がついた。日本初の女性総理大臣誕生の瞬間である。
 選出決定の挨拶で、新総理は「決断と実行の政治をやる」と宣言した。SNSのコメントをみると、「これで、やっと本当の日本が始まる」、「これで、明日からの仕事に身が入る」、「日本は賢明だ。危ない所で踏みとどまった」など…ポジティブな書き込みがあふれた。同感だ。
 話しが早いが、2番目の女性総理を期待される人物も経済安保担当相として入閣した。参議院岡山2区出身の42歳である。高市早苗の総裁・総理への「チーム・サナエ」のキャップテンを勤めあげた。人間として、女性として、政治家としてとても魅力的である。あれば、ファンクラブに入りたいとマジで思っている。 (終)

2025年10月23日 発行

 

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