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17/03/01

校長 古田茂樹の「英語遊話」(2016年3月号)

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地方にいても国際化は着々と押し寄せてくる。分かりやすい例として、TEC予備校にも外国人の親をもつ生徒が少なからずいる。そんなバックグラウンドを持つ彼らも日本の学校に通い、家では(全部または大半を)日本語で生活している。純日本人が想像するようなバイリンガルがそう自然に出来上がるはずはない。
「先生、LとRの発音って厄介ですねぇ」とそんな背景を持つある生徒から突然話しかけられた。そりゃ、そうだよ、我々日本人にとって悪夢だね、と応じた。彼には海外活動する親戚も多いと聞いているので、LRの聞き分けの壁はクリアーしているのかと思っていたので、その問いかけに少し驚いた。「気にせずに適当に聞き、適当に喋っている分には大丈夫なんですが、気にし始めると難儀しますよねぇ」と彼はつづけた。
それから間もなく、別のTEC卒業生が米国留学から帰ってきて訪ねて来た。LR問題について尋ねてみた。「そこまで細かいこと気にしない質(たち)なので、最初は全部Lでやってましたよ。すると周りはクスクス、ニヤニヤしながらラルフ・ローレンと発音してみろと試すんです。」なるほど、RALPH LAURENか、日本人英語をからかう子憎い発言だなと思った。RとL、LとRと2回の切り替えがあるブランド単語である。
これは英語を聞く上で、やっかいな日本人特有の問題である。私の知る限り他の言語は全てLRの区別をもっている。LRは私たちだけが苦しむ問題なのだ。知識として知らない外国語を聞いてもLRはよく出てきて苦しめられる。
英語習得に前代未聞の情熱を傾ける安倍政権の文部科学省に提案したい私なりの処方箋がある。つまり、日本語のラ行(ラリルレロ)表記にLバージョンとRバージョンを作るのである。英語としての問題ではなく、日本語の音(発音)を増やすのである。これで教育も日常もやるのである。一世代30年として、三世代90年も続けたらLRに悩まない日本人ができる。善は急げ、文科省にさっそく提案してみたい。

2016年3月号 2016年2月19日 発行

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