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16/08/18

校長古田茂樹の「英語遊話」(2015年8月号)

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英語遊話2015年8月沖ノ浜のコインランドリーから足早に出て来たあごひげ、ほほひげで顔中真っ黒の白人男性に呼び止められた。何か差し迫った問題を抱えているかのような面持ちであった。
「助けがいるのですが、英語できますか?」と問いかけてきた。大丈夫だと応えると、コインランドリーの操作と店のシステムが分からなくて困っているという。二人で店内へ入りクリーニング店の女性に質問をして、ほどなく彼の疑問はすべて解消された。安堵の色を浮かべて彼は北海道から順に旅をしながら南下してきたオーストラリア人だと自己紹介した。マナーよく、発音よく完璧な英語スピーカーであった。
箱根の山々を結ぶロープウェイの途中駅で現金、クレジットカード満載の財布をベンチの上に置き忘れたと語り始めた。途中でそのことに気づき、パニックになり血相変えて5時間後に逆ルートで問題の駅までたどり着いた。なんと、なんと99.99%あきらめていた財布が元通り何事もなかったように彼の帰りを待っていた。
「考えられない、信じられない、あり得ない、想像もできない・・・・・」と類語が留めなく出てくる。「こんな国って世界でここだけでしょう。ここしかないでしょう」と食いつくように聞いてくる。わたしは、そうですね、そうでしょうねと頷いた。でも、いつも必ずとはかぎりませんよ。つぎは気をつけてくださいよ、と念押しした。
続いて堰を切ったように、北海道から、東北の震災地、首都のメガポリス、信州の自然、京都奈良の佇まい・・・・留めもなく紀行文が出てくる。分った、彼は日本人と話したかったのだ。感動を日本人に話したかったのだ。別に高度な話ではない。普通の世間話がしたかったのだ。しかし、その世間話をしてくれる日本人になかなか出会えなかったのだ。
まず、英語で世間話ができる日本人をつくらないと。この徳島からつくらないと――使命感が湧きあがってきた。世間話から外国人と交流して、ビジネス、文化、学術、政治とどんどん守備範囲を広げていけばいいのだ。外国人も喜ぶし、日本人の得にもなる。

2015年8月号 2015年7月21日 発行

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