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17/11/23

校長 古田茂樹の「英語遊話」(2016年12月号)

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日本人みんな英語できないといけないの?

私はTEC予備校の英語講師として長年働いたので、英語をどう勉強したらよいかよく質問を受ける。まず、「聞きっぱなし方式はだめだ」、と断言している。文法は要りますかとの質問には、「要ります」と答えている。英語の基本的な意味の塊が文法である。自然体得したにせよ、学習したにせよ、文法は意味の根本をなしている。

英語はそう簡単に身につかないと固く信じている。ゴルフの達人、空手の名人、華道の大先生に匹敵する精進があって英語のうまい人になる。楽天家は、英語はやる気になれば簡単に上達するものと思い込んでいる。できる人は若い時分に他のことを随分犠牲にして英語習得に邁進してきた。人付き合いが疎かになる。だから、英語マスターには失った物が伴う。

TEC予備校では進路指導に力を入れている。そこで英語との関連である。3段階に分けて考えている。将来、どこで働くかである。(1)生まれ育った地元で住みたいなら英語はある程度にして他の勉強をすべきである。(2)次に日本の大都市で働き外国とも交流するならある程度の英語力は必要である。(3)そして、世界を股にかけて活躍する気なら、欧米人にも引けをとらない英語力が必須である。買い物をする、隣人と立ち話をするに始まり、会議をする、商品を売りこむ、愛を語る、喧嘩をするまでやりきらないとだめだ。

日本の外交を見ていても英語力の不足に元来の内弁慶な国民性がたたり、大切な局面にも対応が後手後手に回っている。今回の米国大統領選でも、マスメディアのクリントン優勢の報道を鵜呑みにしてトランプ陣営への接触が遅れたとみる。安倍政権もトランプ優勢が明白になってからやっと補佐官を渡米させている。もっと早く手を打たんかい!

英語をどこまでやるか?これはどんな人生を歩むか、と同等の選択である。そうやすやすとものになる代物ではない。ほどほどにして、職業に直結した勉強に勤しむか、ある程度しっかりやるか、世界どこへ行っても物怖じしないレベルまでやるか? 英語習得レベルの決意=一度しかない人生の使い方である。

2016年12月号 2016年11月19日 発行

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