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22/04/20

校長古田茂樹の「車窓余禄」【第15回】「ウクライナ侵攻って対岸の火事なのか?」

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 ウクライナ侵攻は対岸の火事ではない、と確信している。明日は我が身として考えたい、備えたい。でも、国民の間でも議論どころか、あまり話題にも上らない。6月22日に公示される第26回参議院選挙の争点にもなっていない。政治家はあまり国民を覚醒させ過ぎても面倒くさいので、与野党とも避けている感がある。
 さて、連日、ロシアに攻め込まれたウクライナの惨状がテレビやネットでも流されている。欧米側のメディアや機関や個人からの発信が大半であるので少し偏りがある映像かもしれない。が、「ひどい」の一言に尽きる。まさに地獄絵図とはこれなり。ロシアはひどい、ウクライナは可哀そう、との想いは一旦心で受け止めよう。では、これは私たちに無関係で無影響の対岸の火事であろうか。
 ロシアは悪魔御殿で、ウクライナはお花畑に住む妖精であろうか。世の中に真っ白な個人や国はあろうはずもない。濃淡の差はあれ、個人も国も白黒まだら模様というのが真理であり実態である。今回の侵略騒動は美醜問題でも善悪問題でもない、国同士の勢力争いである。乱暴だが、言ってしまおう。他所のことより、「明日は我が身」と心配したい。
 今朝のワールドニュースでフィンランドとスウェーデンのNATO加盟意向が大きく報じられていた。欧米人は何でも動きが早い。両国とも首相は女性で、ストックホルムで並んで意向表明会見をやっていた。ウクライナはなぜ攻め込まれたのか、両首相は知っている。一つ目、旧ソ連の残していた核を放棄してしまった。二つ目、安全保障の同盟に入っていなかった。核なし、同盟なしは危ない。二人はすぐ話し合い、共同歩調を取ることにした。現実的で賢明な決断だ。フィンランドのマリン首相はまだ若く聡明で知的な女性であり、年上のスウェーデンのアンディション首相は落ち着いた構えのお母さん風情が持ち味である。内容、発音共にぴか一の英語でNATO加盟の動機を説明するマリン首相をゆったりとした面持ちでアンディション首相が隣で受け止めている。
 NATO加盟を渇望していたウクライナはやり方とタイミングがまずく、国家存亡の危機に直面している。ゼレンスキー政権のかじ取りミスともいえる。この状況を見て、長い国境線をロシアと接しているフィンランドのマリン首相は躊躇せず大きな賭けに出た。そして、隣国のスウェーデンを説得した。「ウクライナ侵攻で全てが変わった」と強調するマリン首相を「安保環境が一変した。歴史において大変重要な時期に来ている」とアンディション首相は受け止めた。今動くしかない、と一致した。
 うらやましい。両国はいいリーダーをもっている。もちろん、ロシアは黙っていないだろう。両国とて、無事加盟を果たすまでのかじ取りを誤れば、頓挫するばかりか国家滅亡の道かもしれない。
 「ロシアの北海道侵攻は一年以内に起きる」との予想がある。日本はどうする? (終)

 

2022年4月20日 発行  TEC TIMES 5月号より

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