
TEC予備校がついに40周年を迎える。発足は1985年2月1日である。ついに、40年か、と思うと感慨深いものがある。このエッセイを書いているのは、1月30日である。昼に取引金融機関の若き外勤係Nさんが来たので、この40周年の話題になった。個人的に、武勇伝的な語りは嫌いな方なので、彼からの質問には至ってクールにサラサラっと答えてしまった。彼にとって少し物足りなかったのか、「一番感動的な思い出は何ですか」と直入に聞いてきた。色々あり過ぎて、簡単にはいえないなぁ…とかわしてしまった。ここで一つ書いてみたい。TEC予備校は株式会社が運営している。一般的に会社が生まれて30歳を迎える率は、ある統計では30年生き延びる会社は2%と出ている。残念ながら40年の数字は見つからなかったが、50年生存するのは0.7%である。なので、40年生き延びたことに、今感動している。これを超える感動はない。
しかし、ここから先が大変だと覚悟している。二つの障害が立ちはだかっている。人口減少、少子高齢化が一つ。もう一つは、南海トラフ巨大地震である。地震調査委員会の最近の発表では30年以内の発生確率は80%程度としている。言い換えると、今から30年経った時点で、「起きた確率4倍、幸い起きなかった確率1倍である」となる。考えるだけで恐ろしい。前者の巨大地震はそれ自体も怖いが、国民の暢気な平和ボケに加えて、国を率いる政治家たちのリーダーシップの無さがもっと怖い。
ところで、地元の徳島大学には「環境防災研究センター」というものがある。推定では8人くらいのスタッフが在籍している模様である。車移動が多い筆者はカーラジオで防災番組をよく聞く。くだんのセンターの先生方もよく出演している。特に特任教授のNさんの登場回が一番面白味と迫力がある。女性のパーソナリティ:「先生、巨大地震が来ると言われている割に、あまり準備していない人が多いようですねぇ。どうしたらいいんでしょう?」N教授:「うん、してないね。そんな人でもとりあえず覚悟だけはしておくといいね」P:「どんな覚悟ですか?」N:「そりゃ、一旦来たらすごく悲惨なことになるって覚悟だよ」このやり取りは大きな恐怖感を伴って今も忘れられない。
二つの障害への対策についても、私たちTEC予備校も無策ではない。今回は言及しないが、着々と手は打っている。生き残りを賭けた方策を打っている。地震の後はどの教育機関よりも早期に復興するつもりである。
受験指導のサービス内容も時代に合わせて強靭化していきたい。まず、大学受験は易しくなっていく―少子化のお陰だ(笑)しかし、実社会で生きていくのは難しくなる。だから、どうする?レベルの高い大学へ合格させる努力はこれまでと変わらない。むしろ、もっと大事なことをやりたい。実社会でも使える真の学力をつけたい。一生ものの学力である。AI技術に振り回されて堪るか、AIを使う学力を養うのだ。 (終)
2025年1月30日 発行