
先週の土曜日は見事な快晴であった。まさに春爛漫の日和であった。前号で登場した日和佐と牟岐をつなぐ海沿いの県道17号線、つまり南阿波サンラインへ出かけた。若い(筆者よりは)小松島市のT君がマツダロードスター35年記念車を買ったからである。もちろん変速機はマニュアル(MT)である。現行第4世代モデルND型である。最後に、筆者はいつもよく乗っているクリーム色のロードスターNCで出かけた。NCは一つ前の第3世代モデルである。
さて、T君の35年記念車は全車ワインレッドの外装色に、シートなど内装色はタン(ベージュ色の皮)で内外装色合いのマッチングも抜群である。満面笑みで降りてくるT君は幸せそのものである。彼のND型は現行モデルであるが、中々モデルチェンジしないので、初年度2015年登録からもう10年が経っている。35年記念とは初代NA型デビューからの年度カウントである。
私たち車を愛するエンスーから見ると35年間、このライトウエイトスポーツを作り続けてくれた広島のマツダに感謝、感謝の一言に尽きる。ちなみに、2代目NBと3代目NCの開発トップ(主査)は徳島県出身の貴島孝雄さんである。私たち徳島のカーエンスー(車愛好者)からみると「郷土のヒーロー」である。私も、徳島県で一番尊敬している人は…?と聞かれると、即座に「それは貴島孝雄さんです」と答えている。
ところで少々脱線するが、日本の自動車メーカーで一番好きなのはどこですか…?と聞かれると、即座に「それはマツダです」と答えている。乗り手の心を一番つかんでいる自動車会社である。調子に乗って勢いづいて言うと、プロ野球は「広島カープであり」、サッカーは徳島ヴォルティスの次に「サンフレッチェ広島」を応援している。これを聞くと広島県人は大喜びする。ヨイショではなく、本心だ。
場面を友たちとのツーリングに戻す。サンライン復路では、T君とはチューニングしたNCと工場出荷のままのNDを交換してステアリングを握った。まず、NDに乗った私の感想から始める。10年近く作り続けているだけあってよく熟成している。全体満遍なく非の打ちどころがなく万人向けに仕立てられている。人間に例えると、どのような人とでもそつなく付き合える円満な人物である。私のNCから降りてきたT君は少し興奮気味であった。「エンジンがシャープで吹け上りが鋭いですね。舵(ステアリング)も少し切っただけでも向きがスッと変わりますね。チューニングとはこういうことなんですね」と感想を述べた。「僕の車もこんな風になりますか?」と聞くので、成りますと答えた。
工場出荷のままで乗るか、手を入れてチューニングするかはまさに乗り手次第である。ロードスターは根っからスポーツ仕立てなので考えをしっかり定めて手を入れるとスポーツ性能はどんどん磨かれていく。ますます楽しくなる。チューニングの成功は自分の価値観をしっかり定めることと信頼できるエンジニアを見つけることである。人間に例えるとアスリートとコーチの関係とほぼ同じである。
参考までに述べると、私はNCとNDを両方ともチューニングした。両車ともほぼほぼ同じチューニングを施した。エンジニアは同じ人物である。互いに信頼関係にある。 (終)
2025年4月24日 発行