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25/08/27

校長古田茂樹の「車窓余禄」【第57回】「参議院選挙を振り返る(2)…」

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 前々回、「参議院選挙を楽しもう…」を書いた。そこで、筆者個人は推している特定政党はない、と述べた。選挙の度に、政党の勢力分布がどうなって、結果的に日本の政治がどのように進んでいくかとの視点で投票している。投票した個人が当選し、所属政党が勢力を増すと嬉しくなる。他の日本人も私同様に考えている人が増えているのを見て、心強い心境になる。
 ところで、冷静に政党の勢力分布を描いて投票を決めるとは言ったものの、自分には好みのようなものがあることは否定できない。民間会社として学校(予備校)をゼロから始めた創業者である。すでに確立したところに入れてもらって安心や喜びを覚えるタイプではない。つまり、ゼロから創ることに燃える質(たち)である。だから、同類の人々には強いシンパシー(共感)を感じる。
 もちろん、政治家への共感も同様である。伝統ある政党で総理大臣まで上り詰めた人物よりも、少数新興政党として立ち上げたばかりの人々を応援したくなる。主張する内容もさることながら、孤軍奮闘している姿に共感を覚えるのである。日本全国の街角で大きなモニター画面をバックに自らの信じる政策を全身全霊の迫力で聴衆に熱く語りかける「令和新選組の山本太郎」は理屈抜きで応援したくなる。既得権益たちに一旦追い落とされた兵庫県知事の再選選挙戦を懸命にバックアップしたNHK党の立花孝志は大好きである。私の価値観では、総理大臣より偉大な仕事をしていると思う。偉い肩書で偉いことをする人を見ても私は余り興奮しない。「あっそう、がんばってね」くらいの感想である。肩書もなく、多くの人々の応援もなく、信じることに向かって突き進む姿に感動する。主張だけでなく、彼らの人間性に惹かれる。ファンになる。
 以上の二人は「熱いタイプ」である。次の二人は(本人たちの内面はマグマのように熱いと思うが…)冷静に理路整然と分かりやすくスマートに語り掛けるタイプである。一人は広島県安芸高田の前市長、石丸伸二である。市長を任期前に辞して一気に東京都知事選に出て二位の165万票を獲得した。組織票の塊である小池百合子の291万票には勝てなかった。ちなみに、組織票とは上から言われた人に黙って投票する人々である。(私なら、黙って別の人に入れる。)石丸の街頭演説には終盤になるほど黒山の人だかりとなった。補足だが、128万票で三位となった蓮舫にも決まった動員メンバー以外は集まっていなかった。彼女の票も大半が労組系の組織票と思われる。石丸は頭がいいだけでなく、人を引き付ける魅力がある。参院選を終えた後も、安芸高田の田舎の実家の茶の間で寛ぐ様子が微笑ましい。彼の「再生の道」は今伸び悩んでいると見られているが、そう遠くないうちに力をつけるはずである。ファンなので応援している。
 もう一人のスマート系であるが、生まれも育ちも東京の安野貴博である。強みの軸はAI技術であるが、オールマイティな才能の持ち主とみる。参院選では見事、比例区で当選して、「チーム未来」を政党としてデビューさせた。8月1日の登院前にすでに政治資金の出入りを可視化するシステムを創り、全議員に無料公開して普及させたいとの抱負を語った。人間味も誠実で好感がもてる。加えて、さわやかな頭脳明晰タイプである。石丸同様、都知事選にも出て5位15万票を獲得し、今回参院選の布石とした。ところで、開成高校から東大に進んだ安野を支えるのが、桜蔭高校から同じ東大へ進んだ現在文芸春秋社で編集者を勤める妻、黒岩里奈(りなくろ)の存在である。まず、とにかく言う前に二人は「お似合いのカップル」である。彼女が一気に注目を浴びたのが都知事選での夫への応援演説である。「神演説」の一言。凄い。この神は参院選でも爆発した。清楚で、知的で、可愛らしく、引きがある、と描写したい。次の衆院選に出たら一発合格(当選)が囁かれている。
 なにか、日本の政治、面白くなってきた。東大志望者も増えそう。でも、立花が心配だ。 (終)

2025年8月14日 発行

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