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17/08/03

校長 古田茂樹の「英語遊話」(2016年8月号)

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英語を話す人、英語を話す国の表現がストレートであることを示す事例に触れたい。イギリスの小学校で交通安全教育を見学したときのことである。その内容が実際的で論理的なことに新鮮な感動を覚えた。うーん、日本のやり方とは違う。
30名ほどの個性的にカラフルな服装(ここは公立校)の10歳児を前にして、まだ20代後半と思しき女性教師が真剣な眼差しで語り始めた。
「あなたが激しく車とぶつかったら、どちらが死にますか?この世に生を受けて間もないのに、もう死んでもいいですか?道路はこの世で最も危険な場所の一つです。この国の統計によるとこのクラスでは3人が30歳までに交通事故の被害者となり2人が加害者になります。確率ですが、他人事ではないです」
若い先生は迫真の語り口で迫る。リアルすぎて、口をへの字に曲げて生唾を呑み込んでいる男の子もいる。私は何としても生き延びるぞ、との決意を眼力に込めている女子もいる。真剣に聴いている。
先生は聞き手の関心を掴んだと確認すると、道路で死なない方法を教えますと視点を転じた。英国では車は道路の左側を走りますね(日本と同じである)。横断しようとしているあなたの右手から車はやってきます。横断歩道を必ず使ってください。横断歩道は左端から始めてください。車が歩行者を見つけて停止するまでの距離を稼ぐためです。横断歩道内は斜めに進んで最後は右端で終わるのです。今度は左からの車の停止距離を稼ぐのです。無傷で済むか、最悪でも軽傷で逃れるためです。
先生は続ける。道路内はすべて危険です、とても危険です。その中で、唯一安全な場所があります。それはセンターラインの上です。と言っても、とてもとても狭い線上に過ぎませんが。道路中央で車の接近を認めても、慌てて無理に渡らないことです。センターライン上で停まり、接近する車にしっかり合図をしてください。「横断歩道は左端から入り、斜めに進み、渡り終りは右端です。渡りきれない時はセンターライン上で勇気をもって停止する。死なずにすむ方法はこの2つです」と優しい眼差しで締めくくった。

2016年8月号 2016年7月21日 発行

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