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23/03/20

校長古田茂樹の「車窓余禄」【第23回】「車でのラジオは楽しい、そして学べる……」

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 「テレビとラジオでは、どちらが好きですか?」と聞かれたら、躊躇なくラジオが好きだと答える。昔からそうだったのではなく、ここ数年ますますラジオのファンになっている。視覚を使うテレビと違って、ラジオは聴覚を使うので疲れない。改めて気づくのだが、視覚(眼)は膨大な情報を扱っているんだな。視覚は大変だ。
 好きになった理由は簡単である、番組の内容がどんどん進化しているからである。音楽、食べ物、クルマ・バイク、旅行・温泉、防災、教育、医療、住宅、地球環境、有機栽培野菜・果物、地域イベント、政治、経済、法律、SDGs、LGBT、普通の人のヒストリー、新しいビジネス等などなんでも扱っている。しかも、パーソナリティ(司会進行役)がよく調べて喋っている。また、その道の専門家を番組に招いても、いい人(内容をよく知っていて説明がうまい人)を呼んでいる。加えて進行役の聞き出し方が感じよく、上手である。気持ちよく楽しく聞けて勉強になる。
 この原稿はオフィス(個室)で書いているが、背後ではFM眉山79.1が流れている。放送は電波だけではない、最近はウエブでも流しているので地域を問わず聴取可能である。スマホで聞いて感想をメッセージで送る。背後の放送でも進行役の女性に仙台からメッセージが届いた。その人から進行役にホワイトデーのお返しが来たことを紹介していた。そうなのだ、放送は一方通行ではなくウエブを利用して、パーソナリティと聞き手は繋がっているのだ。
 場面を変える。車好きの私はかなり長距離の移動にも車を使う。そして、FMをつけて走る。パーソナリティの語りで面白がったり勉強したりする。招いた専門家の含蓄ある話に思わず唸ることもある。世の中には、すごいことを考えて、実行する人がいるものだ。 ちなみに、10日ほど前、番組に登場した小学3年生の女子の話をきっかけに「日本や日本人のこれからの行き方」を考えるようになった。彼女は上八万小学校の3年生だという。カナダに家族と住んでいた時の体験を発表して金賞をもらったことが番組テーマであった。学ぶ相手に老若男女は問わない。
 彼女は幼稚園の年長からごく最近までカナダで過ごした。元来、彼女は人前で話をするのが苦手であった。カナダの小学校で自分の体験や感想を語る(英語で)大会に出ることになった。もう一つ自信が湧いてこなくて、おどおどしているのを見かねて母親が丁寧に娘の気持ちを聞いた。徐々に彼女が落ち着き、人前で語る決意を固めるようになった。そして、大会当日では1位入賞を勝ち取った。進行役のパーソナリティの聞き出し方が優しく巧みであった。引っ込み思案であった少女が母親の助けで強く成長する様子が手に取るように分かった。とても微笑ましく、勇気が出る話である。
 とりわけ、私が強い印象を受けたのはパーソナリティの少女への最後の質問とその答えであった。「何年もカナダで学校に行っていて、日本の小学校に入学した時、何が一番驚きました?」と少女に問うと、きっぱりとこう答えた。「カナダの小学校にはカナダ人の他に英国人、アメリカ人、フランス人、ドイツ人、ロシア人、中国人、韓国人、そして私は日本人など多種多様な国の子供たちが混じっていました。でも、日本の小学校に入ると生徒は全員日本人だとわかって驚きました」この答えを聞いていて、知識としてカナダが移民国家であることは承知していたが、まだとても若い少女が大きなカルチャーショックを経験していることが衝撃的であった。彼女は国籍混合・民族混合に慣れている。 同一国籍・同一民族の小学校の生活に強い違和感を覚えてしまうかもしれない。少し心配だ。
 戦後の日本人は同質性の高い国民が一致団結して信頼性の高い工業製品を世界に輸出して国力をつけていった。でも最近の日本はかつての同質性があだとなって世界に後れをとっている。異質性の中で楽しんだり、鍛えられたりする環境が必要ではなかろうか。
 好きな車を楽しくドライブしながら、ラジオから学んだり気づきをもらったりできる。今朝のドライブでは沖縄石垣市生まれのアーティスト「夏川りみ」の現地語の歌声に癒された。 (終)

2023年3月20日 発行  TEC TIMES 2023年4月号より

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