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26/06/18

校長古田茂樹の「車窓余禄」【第79回】「知人の会社がついに倒産した…」

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 知人の会社がついに倒産した。経営体制は地方の会社らしく、夫が社長で妻が専務であった。明かせないが、それなりの規模で市民相手の小売りもしていたので社名を聞けば、おお…、あそこかと驚くかもしれない。負債額も小さくはないらしい。楽天家の夫は元気だが、金融機関から借り入れや返済、仕入れの金額や支払い、売り上げや諸々の経費支払いの全てを担当していた妻の方は精根尽き果ててメンタルを患っていると聞く。これ以上は書けないが、徳島の経済はかなりやばいところに来ている。
 ここで、話しは転じる。無理にでも明るい話題にする。車で友とツーリングに行き、コンビニで一服していると四国88か所を巡る遍路の人たちに出会う。日本人はお手軽な車遍路が多いが、真面目で本格派の巡礼は外国人が大半である。特に、ヨーロッパの人々である。カップルの男女が多いが、男性のひとり巡礼も少なくない。以前はありえないと思っていた、女性外国人のひとり巡礼も最近は増えた。もちろん、男性の二人連れ、女性の二人連れも珍しくない。余計な情報かもしれないが、長身でスタイル完璧な、美しいファッションモデル如き女性二人連れにも遭遇する。こちらが手を振ると、愛想満面で手を振り返してくる。何百キロもの遍路旅をさせるにはもったいないスーパー美女たちである。「次の札所まで私たちの車でお送りしましょうか」と申し出たい方々である。余計な話なのでここでストップ。
 ある日、牟岐のセブン・イレブンでコーヒー休息していると年配の外国人遍路夫婦に声をかけられた。人懐っこい夫婦である。直感的に南ヨーロッパ系だと思った。少し話が弾んだ後、どこから来られましたかと聞くと、イタリアのローマだと予想通りの答えが返ってきた。私も、2回訪れたことがあると言うと、嬉しそうに「早く3回目来てください」と腕を引っ張る。とにかく、イタリア人とは気心が合うと、会うたびに確信する。イタリア人も日本人も感性豊かな民族である。かれらは感じたことをオープンに表現する。私たち日本人は抑制して表現する。あるいは、心に仕舞って秘める。中身は同じだが表現は真逆な私たちである。まとめると、次はイタリア人に生まれてもいい。
 話しは、彼らイタリア人遍路との中身に入る。夫の仕事はオペラのディレクターとのことである。(途中であるが、話はイタリア語ではない。会話は英語でやっている。)その時、私はアスティとくしまでの「浜崎あゆみのコンサート」を思い出した。ボーカルや楽器の演奏を効果的に調整するミキサーの仕事である。そこで彼に、機器を操作してオペラの感動を最高潮に盛り上げる仕事ですね、と聞いた。彼は目を見開いて、とんでもない、と大きく否定した。「機械など一切使わない」、と答えた。そして、腕を大きく上に下に右に左に、あるいは360度回転させて、本番の仕事ぶりを熱っぽく表現して見せた。彼はオペラの指揮者なのだ。そこで、会場はアウトドアですねと聞くと、「そうだ、古代ローマ時代の円形劇場だ」と誇らしげに答えた。凄い仕事ですねと言うと、「まぁな…そうだな」と控えめに彼は言った。そこで、夫人が喋りだした。「イタリア政府が外国の首脳を招き入れた時などは、特に大事なのよ。演奏を最高潮に盛り上げ、オペラの声を外国首脳たちに集中して浴びせるのよ。そうすると、聞いている首脳陣は感動してなみだを流しているのよ」とイタリア人にしては控えめに説明した。そして、主人が最後の締めのセリフを述べた。「翌日の両国の交渉はイタリアのペースだよ。俺たちがイタリア外交を仕切っているんだ」と控えめにウィンクした。それから、彼は少し神妙な面持ちに変わった。「イタリア経済は大変なんだ。特に地方は…。南部は悲惨なもんだよ。」
 う~ん、日本も見習わなくては、と思った。日本の外交はどこまでできているのだろうか、と少し不安になった。そうだ、我が国の高市首相は今、G7サミットでフランス南東リゾート地のエヴィアンに赴いている。急に心配になってきた。イタリア首相のメラーニの文化外交にやられるのではないか。メローニのペースに嵌ってはいかん。
 ところで、日本は、国も地方も結構やばい。詳細は書けないけど、徳島は危ない。(終)

2026年6月18日 発行

 

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