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26/09/24

校長古田茂樹の「車窓余禄」【第86回】「軽自動車って本当に危ないんですか…知人から聞かれた」

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 軽自動車とは、法律によりその規格がしっかり決められている。全長340cm以下、全幅148cm以下、全高200cm以下、排気量660cc以下、そして定員4名以下、ときっちり決められている。こう説明すると、車重の規定は無いのかと聞かれる。答えは無い。決める必要が無いのである。ちなみに、頑丈にしたいと思って分厚い鉄板で作ると、非力な660ccエンジンではとても走れない。軽くし過ぎると、車体の鉄板がペラペラになりエンジンや人間や貨物の重みで潰れてしまうからである。仮にしばらく使えたとしても、耐久性がなくすぐ壊れてしまう。大体において、法律は必要にして十分な規定だけを決める。その他は、現実的事情や損得勘定で自然に定まって来るのである。
 知り合いから、車購入の相談をよく受ける。LINEで問い合わせが来て、不便を感じる内容になると電話がかかってくる。「軽自動車って危ないんですか? 実は、家内が小さな車が乗りやすいから軽を買いたいって言いだしたんです…」人の懐具合は余り詮索しない方だが、質問の主はどうみても経済的理由ではないことは明らかである。早い話、どんな車でも買えると、わたしは思う。…って、奥様は本当に使い勝手の良さから小さな軽を買いたがっているのが分かる。自分でいうのもなんだが、元来私は真面目な性格である。人様からの質問には、特段の事情がなければ丁寧に対応する。持ち前の知識で間に合わなければ、ネットで調べたり、件(くだん)の車種を売るディーラーまで出向いたりして質問する。
 「軽自動車って危ないんですか?」との質問への第一声は、いいえ、それほど危険ではありません、と答えた。特に、住居からさほど遠くないところへ用事や買い物で出向くにはとても使いやすいです。左右前後とも窓が十分大きいので視界も良いです。最近の車は軽だけでなく、バックモニターや真上から見た駐車アシスト画像など親切機能満載ですから、と説明した。360度見晴らしの良さと昨今の安全親切機能を加えると、狭い日本では安全な車と言えます、と取りあえずの答えをまとめた。しかし、相手も賢く慎重である。「校長は軽なんて乗っていないでしょう」と尋問してきた。落ち着いて、軽は使っています、もう5年以上になります、事故はしていません、とても便利ですと事実を答えた。
 相手は、「でも、軽が高速道路で他の車両に前後に挟まれて見るも無残にへしゃげていましたよ」と衝突安全に言及してきた。即座に、わたしは答えた。衝突安全性が弱いことは軽自動車の最大の危険性です。特に、運動エネルギーが大きくなる高速道路では危険です。軽は車体が小さいので潰れた時の人員の生存空間がとても限られています。特にボンネットが短く、トランクなど無いに等しいワンボックス型のスーパーハイトワゴン軽は特に危険です。まとめると、軽は狭い街中ではよい車ですが、高速での長距離移動には不向きです、と一旦締めくくった。近場の用事は軽で、高速を使う遠出は大きめの車で、と使い分けてください。軽について大事な事実を一つ付け加えた。車体に使用している鉄板が薄いのです。叩いてみるとよくわかります。ペコペコしています。規格上、非力な660cc以下のエンジンで走らせる車体には薄い軽い鉄板はやむを得ないことです。
 彼は、さらに続けた。「校長は軽では高速は行かないんですか?」と畳みかけるように聞いてきた。正直に答えた。出先の町では狭い山間部に行く時があります。大きな車で行くと、狭い山間部で苦労するのです。彼は、どんどん聞いてきた。「高速ではどんな風に運転しているのですか?」これには、もちろん注意して運転します、先ほど説明した薄い鉄板の件などは片時も忘れません、前後左右、周りの車とは間隔を空けるよう注意しています、特に大きな車、特にトラックに前後挟まれた走行はしません、一瞬挟まれても、すぐ離脱します。これが私の安全習慣です、と答えた。
 やがて、数日後、彼からLINEが来た。「家内は軽を買うことにしました。でも、遠出は大きな車で行くことを決めました。分かりやすい理由と結果の説明に助かりました」との謝意がニコニコマーク付きで添えられていた。 (終)

2026年9月24日 発行

 

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