
前回8月13日の第1号に続き、「日本人の英語力が世界に追いつけない…英語の底力をつけたい(2)」を描きたい。今回はTEC予備校で通年と季節講習会で開講している「国語・英語底力講座」の内、英語講座に集中して内容とその狙いを説明したい。言うまでもなく、専門的なことなので容易くはないが何とか分かりやすくまとめてみたい。でも、読者のみなさんも少々辛抱してお付き合いください。
まず、最初に英語は建付けがしっかりしている。建付けとは構造のことである。皆さんが住んでいる戸建ての家も建付け(構造)が決まっている。まず、セメントと鉄筋で作る基礎(土台)である。その上に柱を立てる。柱同志を梁で横に結ぶ。この上に屋根を載せる。では、英語の建付けとは「5文型」である。あの「S+V+O+C+修飾語」である。英語の文は「5種類の建付け(構造)」を覚えてほしい。読みでも聞き取りでも、どの文型かすぐ意識してほしい。英文法の本では最初の方で出てくる説明で、単なる形式説明に思えるが、改めて英語の基本の基本だと心得てもらいたい。詳しくは、授業で説明するが、4つの要素の内、C(補語)の理解と活用が英語上達の肝だと覚えてほしい。
ところで、現在の日本の英語教育では「英文法」という科目がない。これは大問題だと思っている。底力講座では英文法を丁寧に教えている。あの5文型の構造の細部の動かし方を教えているのである。だから、5文型(建付け)は細部の英文法によって詳しい意味を持つのである。例えば、こんな文がある。She may come with her dog(彼女は愛犬と一緒に来るかもしれない)。建付け(文型)はS+V+修飾語である。ここで、文法が細かくやるのは、mayの役割である。漫画のコマで吹き出しを喋っている登場人物の判断である。彼女は愛犬と一緒に来るでしょうね、と確定的な判断をするなら、may(かもしれない)はwill(でしょうね)に替わる。まとめると、文型はしっかり構造(建付け)を作り、文法は細部を固めることになる。これを知って英語の勉強を進めると仕上がりが完璧となる。「文型は構造、文法は細部を担う」と覚えよう。
次に、発音である。まず、日本語は発音の種類は少ない。島国だから外国(他言語)との接触が少なかったからこうなったのだ。どの外国語を学ぶにも日本語よりも発音の種類はずっと多いと覚悟してもらいたい。底力講座では、発音記号の習得に力を注いでいる。カタカナ発音では格好が悪いどころか、外国人には通じない。日本人において英語学習に発音記号のマスターは必須である。悪い話だが、どの国の人より日本人は発音記号マスターに苦労することは間違いない。さらに、英語独特の抑揚も発音一つ一つが正確であって初めて実現するのである。
そして、次は聴き取り(リスニング)である。先に述べたように、日本語の発音種類は他のどの言語よりも少ない。知らない発音、慣れない発音が聞き取りやすいはずがない。だから、日本人は英語の喋りにも、英語の聞き取りにも苦労するのである。それでは、どうしたらいいのだろうか? 即効性のある解決法はない。聞いた英語を何回も何回も口ずさんで繰り返すのが効果的である。好きな歌をカラオケで上手く歌いたい時と同じやり方である。英語が聞き取りにくいのには別の原因もある。それは、英語は世界の言語の中でも高音から低音まで幅広く使っている。反対に、日本語は低音気味の言語である。対処法は、オーケストラ音楽を聴くことである。好きなポップスでも構わないが、音域が広く、様々な音色が混じった音楽の方が「音慣れ効果」は早い。私が英語指導現場に居た時は、スマホに音楽を入れて置き、模試や入試のリスニング試験前に生徒に聞かせていた。
最後に読みである。試験問題だけをやっていては余り読解の上達は見込めない。上達の時間がかかる。薄くてもいいから一冊の英文を読むことを勧める。底力講座でも一冊の英文を用意している。切り取りの入試問題では、全体理解や内容からの感動が弱いので英語が頭や心に残らないのである。
YouTubeで今回内閣に至る自民党総裁選の候補者が出ていた。当然、当選した高市早苗現首相も出ていた。司会進行はあの「ひろゆき氏」である。彼は候補者に「日本の国をどう導きたいのか英語で説明してください」と注文した。茂木敏充さんと林芳正さんの二名は発音も内容も完璧に英語で方針を述べた。あの二人はちゃんと英語をやっているな、と思った。高市さん他は全員日本語で述べた。 (終)
2026年8月27日 発行


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