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21/07/19

校長古田茂樹の「車窓余禄」【第8回】「秋田県知事はスポーツカーが好き」

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 「秋田県知事(73)はスポーツカーが好き」との記事をみて一瞬ニコッと笑みがこぼれてしまった。いつでも「同好の士」との出会いは嬉しい。会ったことがない人物でも親近感が湧いてくる。ユーチューブで彼の政策を視聴してみると、徳島と同じ地方県の味わいがみえてくる。
 しかし、記事の書き出しは微笑ましかったが、少し読み進むと残念な内容が分かった。彼が東北自動車道で起こした単独物損事故の話であった。6月27日妻と二人で私用車(日産フェアレディZ)にて走行中、はなをかもうとして操作を誤った車を中央分離帯のワイヤロープにぶつけた。知事夫妻に怪我はなく、他の車を巻き添えにしてもいないが、破損したタイヤが道路に散乱したため下り車線が1時間通行止めになった。秋田県警からは厳重注意を受け、休み明け翌日28日には県庁で謝罪を述べた。
 別の記事で彼が次の運転免許書き換え時には免許証返納も考えていると発言していた。事故の責任は言い訳のできないことだが同情の念もこみあげてくる。というのは、少し前の号でも書いたが、車好きにとって運転免許証返納は耐えがたき苦渋の決断である。不便を超えた生きがいのはく奪とも言える大事件である。議会での陳謝では「もっと環境に優しい車に替えてはどうですか」と誘導され、それも検討しますと答えている。それは、乗馬で言えばサラブレッドから耕馬に乗り換えるようなものである。
 地元の名門高校を出て東北大学工学部へ進み、秋田県職員になり、秋田市市長を経て県知事に当選している。生粋の東北人であり、秋田県人である。彼の示すコロナ後の秋田県のかじ取りは東北や秋田を知り尽くした人物こそが語る大地に足の着いた内容であると同時に東北や秋田への愛情が溢れている。コロナ後には衰退する産業分野があると同時に急速に伸びる産業分野がある。この産業構造の変化に機敏な対応をしなければならない。そのためには人材作りが不可欠であり、高校や大学に手を尽くすとある。SDGsの共通理念とも共感し「社会的弱者とて誰一人取り残さない、高質な田舎社会を目指す」と自ら語るユーチューブで述べている。
 是非、その政策を力強く実行してもらいたい。そのためには知事が元気でなくてはならない。要するに、彼から大好きなクルマや運転を取り上げてはいけない。語弊を恐れずに言いたい。現在の主流となっている環境車、自動運転車は人間から判断力や決断力を奪っている。佐竹知事を主流の車に乗せたらボケが進む。彼はすでに齢73歳である。スポーツカーに乗せて感覚も頭脳もシャープに保つのが良い。事故で破損したフェアレディZが心許ないのであればアウトバーンで鍛えたポルシェを与えてはどうだろう。県費でポルシェを買い与えるのである。あの見事な政策をグイグイ進めてくれたらポルシェ1台など安いものだ。
 ミスを咎めて毒にも薬にもならない人物を作ってしまう癖がわが国にはある。これが過ぎて前途有望な若者や子供が犠牲になっているのをよく見る。佐竹知事は老人ではあるが経験のぎっしり詰まったまだまだ前途有望な使える老人とお見受けする。(終)

2021年7月19日 発行  TEC TIMES 8月号より

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