
人は自分の住む地点から南側のエリアを行動範囲とする傾向があると言う。私自身もその傾向は強い。理由はよくわからないが、他の友人たちもその傾向が強い。行きつけのガソリンスタンドの所長に尋ねてみると、「人は太陽に向かって動く習性があるのですよ」との答えであった。
なので、私も小松島や阿南、美波町、牟岐町などに知人・友人が多い。また、今は徳島市内に住居を構えているが、出身地は南部の方が多い。北方の人々が嫌いなわけではない。と言うわけで、南部にクルマを走らせることがとても多い。しかし、国道55号は余り使わない。単調で面白くないからである。代わりに「県道121号線=通称:新浜勝浦線」を頻繁に利用する。勝浦川沿いの堤防道を出発して、国道55号と交差して丈六寺の脇を抜ける道である。最後は、勝浦町横瀬に至る道である。勝浦川対岸の県道16号がメインであるが、県道212号は同じ川の北側を進むサブの道である。ワインディングをひらりひらりとかわしながら進むこの道は「マニュアル(変速機)好きの走り屋」にはたまらないコースである。が、一般人には疲れるだけの道である。
早い話が、私はこのコースをこよなく愛している。言うまでもなくこの道の特徴は事細かく身体で覚え、頭でも理解している。バイオリン奏者が「楽譜」を知り尽くしているのと同じである。212号は魅力もあるが欠点もある。欠点とは、事故の多い地点も含む。典型例を挙げれば、丈六寺すぐ南にある212号の分岐点が曲者である。八多川に架かる橋のすぐ南にある合流地点である。文字だけでは分かりにくいので、写真①を参照してほしい。危険は南から徳島市を目指す交通に発生する。写真を見て右下が南部からの道であり、左下は八多や佐那河内に至る道である。実は、この合流地点には特別な事情が存在する。右下から侵入する交通は99.9%右折する。理由は割愛するが、周辺の道路システム故の事情である。すると、車の流れは右下から上への流れが主流となってしまい、道路利用者の注意は自然と右手に大きく傾斜してしまう。朝のラッシュ時などは主流の流れが唯一になってしまい、左手の存在は極めて希薄となる。
悪いことに、問題は流れだけではない。写真②をみてもらいたい。南から侵入する運転席からの視界である。進路となる右手も橋の欄干(らんかん)が障害となって視界がよくない。元より不注意となりやすい左手からの個通もガードレール、標識、草などが視界を遮っている。さらには、止まれの停止線が手前過ぎて左右の視界も得にくい。停止線から出ていく車線までは9メートルもある。丁寧なドライバーは法律に従い手前の停止線で止まり、次に実質的な確認のために出る道手前で再度停止している。一時停止を二回やっている。
事故が多い箇所なので、一時期警察が取り締まりをやっていた。反則金収入には貢献したかもしれないが、事故はあまり減らなかった。私は何とかしたいと思った。やり方はたくさんあるだろう。信号機の導入も一手である。ただ、導入も維持管理も予算がからむ。私は利用者の一時停止の方法改善がもっとも安上がりで効果的と考えた。停止線前では軽く止まればよい。但し、道に出る時はしっかり停まる。そして、ポイントは停止角度にある。出口の破線に対し90度に車輛を付ける。これで、左右均等な注意確認が可能となる。写真①のⒶ安全コースである。次に問題は他車にどのように示すかである。これは忍耐と時間が要ると覚悟した。私が通るたびに90度付けを励行する。後続車は倣う、その次も倣う。やり始めて、三年目くらいで効果が表れてきた。出方の目撃だけでなく、右へ回る個所に発生する土砂溜まりが左へ左へと移動していった。そして、今七年が経った。効果はあった。「為せば成る」を実感している。
さて、この原稿を書く日、早朝のラッシュ時に一時間現場に立って観察した。車が152台、バイクが33台通過した。Ⓐコースは40%、Ⓑコースは50%、そしてⒸコースは10%の観察結果である。(終)
2026年4月9日 発行



Copyright (C) 2004 - 2026 TEC-Yobiko co.ltd All rights reserved.